Ninja EV/Z EV のメーターデザインからいろいろ考察してみた

2023年4月6日

この記事を読むにあたって

謝辞

最初に告白しておくと、この記事で使っている「特許庁に届出された意匠登録から考察する」というネタは、ヤングマシン様の記事にインスパイアされたものです。

この記事のターゲット車両

この記事は、KAWASAKIから2023年に発売される(であろう)電動バイク、Ninja EV / Z EV についての考察です。この車両については当ブログでも取り上げていますので、まずは以下をご覧ください。

乗り物用メーターの意匠

さて、特許庁が2023年3月22日に発行した意匠広報
【登録番号】意匠登録第1739562号(D1739562)
によると、意匠権者は『カワサキモータース株式会社』であり、
【意匠に係る物品の説明】によると、

画像図および変化後を示す画像図1~9に表された画像は、乗物のメータに表示される画像である。画像図および変化後を示す画像図2~6,9に表された画像は、電動車(EV)用の画像であり、変化後を示す画像図1,7,8に表された画像は、ハイブリッド車(HEV)用の画像である。EV用とHEV用の画像は、メータがEVとHEVに装着された際に切り換えられる。 

とあります。

いおぶろぐが推しに推しているKawasaki Ninja EV / Z EV に搭載されるであろうメーターの意匠=デザイン、とみて間違いなさそうですね。

Kawasaki Z EV (左) Ninja EV (右)

バッテリーの使われ方

【意匠に係る物品の説明】には、バッテリーの使われ方をほのめかす興味深い一節があります。

参考図に示すように、画像の両側部にある表示部S1,S2は、EVでは、充電残量を表示する。バッテリーが2つある場合、左右の表示部S1,S2は、それぞれのバッテリーの充電残量を示す。バッテリーが1つの場合、表示部S1,S2は同一の充電残量を表示する。

参考図

メーター左右端の斜めのバー状のものがバッテリー残量計であり、バッテリーを2本挿せばそれぞれの残量を表示する。バッテリーを1本挿した場合は、左右で同じ表示となる。
言い換えると、バッテリーは2本挿しだけでなく、1本挿しも可能ってことですかね?

…まあ(今後いくつもの車両に搭載される可能性のある)「メーターの」仕様としてはそうかもしれません。Ninja EV / Z EV がそのような実装(=バッテリー1本挿しでも走行できる)になるかどうかはまた別の話ってことですかね。

e-boost

参考図の中央の左右に伸びる表示部S3(Boostゲージ)は、駆動力を増すe-boost使用時のブースト出力を表示する。変化後を示す画像図2~3に表された画像のように、Boostゲージの上下段S31,S32(参考図)が共に表示されている場合は、ブースト出力がフルパワーであることを意味する。変化後を示す画像図4~5に表された画像のように、Boostゲージの上段S31(参考図)のみ表示されている場合は、e-boostは使用可能であるが、ブースト出力が半分であることを意味する。Boostゲージの増減(参考図のセグメントの数)は、ブーストを使用できる残り時間を表している。EVにおいては、上記のようにBoostゲージが上下2段構成によりブースト出力の強度を表示するが、HEVにおいては、上下2段構成ではなく、常に上下両方のゲージが表示される。

変化後を示す画像図2
変化後を示す画像図3
変化後を示す画像図4
変化後を示す画像図5

【意匠に係る物品の説明】によると、e-boostとは「駆動力を増す」もののようです。
いおぶろぐが以前、Z EV が出品されたイベントにて撮影してきた写真によると、右ハンドルスイッチに「e-boost」と書かれた、ハンドルを握ったまま右手親指で押すのであろう形状をしたボタンが存在します。

多分これが e-boost ボタン

つまり、その「e-boost(と書かれた)」ボタンを押している間、駆動力を増すことが出来る、と解釈するのは合理的だと考えます。

再度【意匠に係る物品の説明】によると、e-boost使用時(=e-boostボタンを押している間?)には「Boostゲージ」なる表示が変化するようです。…が、ちょっと説明がわかりづらい。

EVの場合に絞って解読すると、
①Boostゲージは上下2段表示であり、両方表示時は、ブースト出力が「フルパワー」
②上段のみ表示時は、ブースト出力が「半分」
③ブーストゲージの長さ(表示されているセグメント数)は、ブースト残時間

変化後を示す画像図2のようにBoostゲージが「立派な背骨」のような表示なら「フルパワー」、
変化後を示す画像図4のようなシンプル表示の場合は「ノーマルパワー」(=フルパワーの半分)、

って感じでしょうか?

e-boostボタンを押し続けても、だんだんBoostゲージの表示が減っていく(=ブースト残時間が減っていく)んですね。
ブースト残時間はどういうものなんでしょうね。残時間0になった直後に間髪入れず押し直しても、同じだけの残時間があるのか、それともいわゆる「ゲージ溜め」のようなことをする必要があるのか???

そして、出力は2段階あるそうですが「フルパワー」「ノーマルパワー(仮)」の切り替えって、どうやるんでしょうね? 「ノーマルパワー(仮)」でいいからブースト時間が倍になる、とかできるのでしょうか?

そもそもの問題として、Ninja EV / Z EV にブーストパワー切替機能は実装されるんでしょうか?

謎のH/Lメーター

参考図(再掲)

参考図の左上に、おそらくHiーLowを示すであろう、縦長のシンプルなメーターがありますが、これは何でしょう?

ブーストのパワーか?とも思いましたが、それなら2段階で済むので、H/Lの間に数段階あるメーターである必要はありません。だからブーストモードの表示ではないでしょう。

じゃあ、バッテリー温度表示?とも思いましたが、それならtempマークが付いてて欲しいし、かつ、異常状態なのが左右どちらのバッテリーなのか判断するために左右別々に付いているべきと思うので、これも違うかな。

…そして、よくよく考えたら、温度であれば「H」と「C」ですね…。

もしかしたら、と思ったのは、回生ブレーキの利き度合い表示?
個人的にとても欲しい情報なのですが、そもそも回生度合い調整機能が実装されるのかが問題…というかこればっかりですね。

走行モード

参考図上部に、そのものズバリ「(MODE)ECO/ROAD」の表示があって、これはそのまま走行モードの表示とみていいでしょうね。

走行モードは2段階か…。
もっと細かくてもいいと思うのですが、「スポーツモード」的な役割を、e-boostが担うと考えれば、メインとなる走行モードは2段階あれば十分って判断なんでしょうかね、メーカーとしては…。

走行ステータス表示

変化後を示す画像図6~7は、低速走行時に使用するWALK MODEを表示する警告画面である。通常の走行モードとWALK MODEとの切り替えは、画像外の操作ボタンで行う。左にある大きな文字は運転モードの表示であり、Fは前進を、Rは後退を示す。 

変化後を示す画像図6
変化後を示す画像図7

Z EV の左ハンドルスイッチについてた「WALK MODE」ボタンが謎だったのですが。

(見づらいですが)WALK / MODE と書かれたボタン

低速走行(歩行?)用のモードがあるってことですね。
Fは前進、Rは後進…って、バックまで付いてるのか…。HEVはバッテリーとエンジンが付くので当然重くなるでしょうから、その対策でしょう。

でも、いくらバッテリーが重いとはいえ、Ninja EV / Z EV は恐らく同格のエンジン車よりは軽くなるでしょう。WALK MODEって必要かな?

参考図(再掲)

ところで参考図を見ると、「F/R」表示の部分に「D」とあるけど、これは…「Drive」?

電動バイクや4輪ハイブリッド車には、アクセルを開ければ走れる状態であることを示す「READY」ランプを持つ車種もありますが、カワサキの場合は「READY」ではなく「D」表示、なのかな?
そもそも Ninja EV / Z EV は物理キーで操作するようなので、それが「ON」の位置にあればすなわちREADY状態なので、READYランプは不要、というメーカ側の判断なんでしょうかね…?

まとめ

あくまでメーターの意匠ですし、今後のEV/HEVの複数車種に搭載されるであろうと考えると、メーターの意匠に用意されてても、その機能のすべてが車両側に搭載されるとは限らないんですよね。

…だからこそ、こうやって思いを巡らすのが楽しい、とも言えます。

ともあれ、早いとこ日本でも Ninja EV / Z EV の発売の声を聞きたいものです!