OneMixは堅実路線へ、GPDはベンチャーっぽさ維持か?~ONE-NETBOOK社長インタビューを読んで~

何かと話題のUMPC「OneMix」シリーズをリリースしている ONE-NETBOOK社の社長インタビューがPC Watchに掲載されていました。

こうしてUMPC市場はしばらくGPDが独占することとなったのだが、GPD Pocketの登場から約1年後に現れたのが、OneMixであった。CPUこそGPD Pocketよりスペックが低かったが、同じ7型液晶を備え、バックライト付きキーボードや2in1機構、そしてペン対応という武器を携え、この独占市場に挑んできた。そして5月、いよいよ日本の代理店・テックワンから、日本市場向けにも製品が投入されることとなる。

今回、代理店の協力により、ONE-NETBOOKの社長・Jack Wang氏を取材する機会を得た。世間では、OneMixはGPD Pocketの模倣品だという認識が多いようで、筆者もそうだと思い込んでいたのだが、Wang社長の取材のなかで得られたのは、そうした想像とはまったく異なる事実だった。

筆者的には OneMix を GPD Pocket の「模倣品」とは思ってなかったんですよね。いや、Pocket同様のクラムシェル型ならそう思ったかもしれないが、YOGA型+ペン対応だったので、まったく同じにはしてこなかったなと。でも「Pocketフォロワー」、つまりPocket発売後に開発を始めたんだとは思ってたんです。

OneMixの準備期間は2年と2カ月にもおよび、逆算するとGPD Pocketと同程度か、むしろ若干開発が先行した程度になる。

まさかの同時期開発説。それでいて「模倣品」と言われちゃ、忸怩たる思いだったろうなあ。でも、OneMixシリーズも3まで育って、スペック的にはUMPCの中でも抜きんでた存在になって、よかったのではないでしょうか。

そして筆者として驚いたのはここ。

ONE-NETBOOKの母体となる会社自体は2006年に立ち上げられました。当初はMP3プレーヤーやODM/OEM事業を手掛けていました

(中略)

母体となる会社に名前があり、PC市場ではすでに一定の知名度がありました

(中略)

われわれは当初から山東省に優れた開発チームがあり、生産拠点もありました。

筆者の不勉強でした。ONE-NETBOOK も GPD 同様のベンチャー的な会社かと思っていましたが、母体の会社はすでに10年以上の歴史を持っているんですね。Windowsマシン開発ノウハウも十分あったようで。でもあそこまでの小型化をするのに2年かかったんですねえ。大変なお仕事。

ONE-NETBOOKは、GPDとは異なるベクトルで攻めている企業だ。製品は似通っている点があるものの、開発や製造スタンスには相違点がみられる。GPDは中小企業らしさがあり、ONE-NETBOOKは大企業らしさがある。ただ、どちらも競争が激しいPC業界において生き残る道を見つけようと、ユーザーの意見と素直に向き合い、各々の長所を活かしながら熱心に開発に取り組んでいる姿勢が伺えたというのが、今回の取材をとおして感じたことだ。

元記事の筆者さんの結びです。なるほどONE-NETBOOKは大企業らしいと。

確かにOneMix2のように、同じ金型でバリエーションを増やしたり、そもそもOneMixシリーズをすべて併売するというやり方は堅実であり、かつ企業体力がないとできないことかもしれません。でもそんな「大企業」だからと言ってユーザーの声を聞いてないわけではないんですよね。OneMix3で大型化に踏み切ったのもやはりユーザーの声でしょうし。

GPD P2 Max の水冷化のような「冒険」は、おそらくONE-NETBOOKはしないでしょう。UMPCの2大巨頭が常に同じようなマシンをリリースしてくる、という方が我々消費者としては退屈です。今後ともONE-NETBOOKにはUMPC界のリーダーとして、新たな道を切り拓いていただきたいです!